まえがき

色々な未来がある。

子供にとって世界というのは学校、友達の家、自転車で行ける範囲の、だけど親や友達に連れられて行けるとても狭い範囲の世界でしかない。

それでも子供だった僕たちでも色々な未来を想像することができる。10年後自分は何をしているのか。及ばないなりに、当たらないなりに考えようとする。明日、いや明日と言わず今日、一歩踏み出したらもしかしたらあの子が振り向いてくれるかもしれない。少し冒険して親の言い付けも無視して一歩足を踏み出すと、知らない世界に飛び立てるかもしれない。

そんなことを考えていた、そんなふうに思っていた中学生の夏のことを思い出した。

感想

時間は少しずつ何をしてもどうあがいても進み、一度刻まれた時刻はもう戻りはしない。刻まれた瞬間、過去、思い出になる。

僕の前に道はない 僕の後ろに道はできる

前に道が存在しないことは、別に未来がないことを示唆しているわけではない。色々な未来はそこに横たわっている。誰かによって隠されているわけでも管理されているわけでもない。

目の前に転がっている未来を、降ってくる未来を、見据えて、選ぶこと。それが生きるということだ。

自分の未来がどこにあるのか。それは自分が決めることだ。自分で、自分の未来を決められるようになることが、大人になるということだ。

そこにはいくつかの世界があった。いくつかの夏があった。いくつかの花火があって、いくつかの恋があった。

彼が選んだ未来はなんだったのか、それは誰も知らない。ただ、きっと彼なら、きっとどんな世界を投げ捨てても、もう一度君と会える未来を選ぶのだと思う。

そして映画から帰ってきた僕も、自分の手で自分の明日を選ぶ。明日は髪を切りに行こう。そして、近いうちに「今、目の前にある道」から脱却しよう。

きっと僕の目の前には爆発した花火から未来の断片は降ってこないし、目の前にとんでもなく美しい女性も現れないけれど。君が自らの手で自分の夏を変えたように、僕も、僕の夏を取り戻したい。

そう思わされる映画だった。

いろいろ感想ではないこと

きっと僕はあまりこの映画にハマっていないんだけど、ネットで評判見たら良くないと言っている人が多くて意外だった。

大根仁氏の脚本だったから見に行ったけど氏の悪いところが出ちゃってて「あーあ」って感じだし、菅田将暉の声優が初めて感バリバリだったし、全然中学生に見えなかったり特に引き込まれもしないCGシーンがあったり、ストーリーに関しても、ストーリー以外でもどうだかなという部分はあった。

でも、きっと歪な形をした花火が見せてくれた世界、典道が夢中になって掴んだ断片、なづなが見せてくれる夏は少しだけ非日常で、エンタテインメントとしては弱いけど自分の未来や成長を考えるのに適当な刺激を与えてくれるんじゃないかと思います。

僕は好きです。ただ嫌いな部分もたくさんあります。そんなタイプの映画です。