流れよ我が涙、と警官は言った
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今までは映像作品についてのみこのブログでは語ってきたけれど、今日からは「物語」であれば全てこちらのブログに買いて行こうと思う。例えばゲーム、例えばマンガ、例えば演劇1。色々な物語に対する僕の「感想」を色々と書いていきたい。
ちなみに、今年度の目標として「SF小説を月に1冊くらい読む」を掲げているので、今回の『流れよ我が涙、と警官は言った』は進捗報告第1回でもあります。
作品紹介
今回はタイトル買いした『流れよ我が涙、と警官は言った』。作者はP.K.ディック。『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』は過去に一応読んだことがある。
Amazon へのリンクを貼るだけでは味気ないので、簡単な紹介をしよう。
主人公のジェイスン・タヴァナーはマルチタレント、毎週火曜日に3,000万人もの視聴者を誇る大人気番組の司会者だ。そのタヴァナーがある朝、ホテルで目覚めると、彼はIDカードを失っており、助けを求めようにも彼自身のことを知っている人間は居ない。警察から追われる身となったタヴァナーが世界の裏側を歩く物語である。
感想
その舞台設定や登場人物とタヴァナーとの様々な会話、そしてバックマン本部長の人間らしさに少し心打たれた。
この物語は、全く正反対の二人の男を描いている。当然タヴァナーとバックマンだが、どちらかも本人にとって最も大切なものを取り上げた話だ。タヴァナーはタレントとしての名声を、バックマンは最愛の人を。
タヴァナーは持ち前の魅力で女性たちを味方にしつつ、決して諦めず執着し続けられたのに対して、バックマンは強い感情の昂りを、最後までコントロールすることができない。彼は言うなれば諦めてしまうのだ、こんな風に季節外れに寒い夜は。
タヴァナーのようにありたいとは思うが、実際には僕はバックマンのように行動してしまう人である気がする。感情が続かない、途中で投げ出してしまうのだ。怒り疲れ、泣き疲れ、帰って寝よう、寝てから考えよう。そういう夜に限って寝れなかったりする。
それがきっと、人の「悲しみ」の表現の仕方な気がするし、少なくとも愛する誰かを失った夜には、僕にはそれしかできない気がする。
- プロの舞台を見に行ったことないけれど。 [return]