アナログ -- 不思議で不器用な恋
自分はアナログな人間だと思う。
職業はプログラマなので、パソコンとかできるんだからデジタル人間なんでしょ(この表現には多分に語弊を含んでいるがあえてこうしている)などと言われること、あるいは思われていることもあるだろう。
だけど僕は0と1で決まることを好んでいるわけではないし(これをデジタルという)、どちらかというとアナログな、グラデーションかかった曖昧な世界というのを受け入れていると思う。
人が持つ価値観にせよ感覚にせよ感情にせよ、定量的に測れるようなものなんてほとんどないのではなないかと思う。例えば人は痛みを感じるし、強い痛い、弱い痛みを感じることができる。でもその人の感じた痛みを第三者に定量的に提示することは不可能だし、それは身体的な傷でも、精神的な傷でもそうだ。そしてそれは人への想いの強さ、恋患いにも当てはまる。
でも、アナログとデジタルの本義に沿った議論が、きっとこの小説では無関係。この小説では、LINEにせよTwitterにせよ、いつでも会いたい人と連絡をとったり、急用ができたとか電車乗り遅れたとか連絡ができる。スマートフォンや、パソコンを使って。一般的にはこういうことをデジタルとかデジタル化社会とか呼ぶんだろう。言葉なんてそんなもんだ。
ただ言葉の意味は間違っていても、便利な時代になったという事実は揺るがない。「約束」をしやすい時代でもあり、「ドタキャン」がしやすい時代になったとも言える。
そんな時代に、例えば。「木曜日に喫茶店で待ち合わせ。来られなかったら、その日は来られないということ。」というデートの約束。
そんなの「アナログ」なデートのお話。