Introduction

風邪をひいていてしばらく更新が滞っていました. 病気だとそもそも映画を楽しもうという気にもならないので, あまり見てさえいなかったわけですが, そんな中で 2 本くらい見た中で, 「これについては一応書いたほうがいいかな……」なんて思ったのがこのブエノスアイレス.

なぜかわからないけれど, どうしようもなく悲しいお話.

今回はフォーマットに載せずに簡単に書きます. 約 20 年前の映画であることと, 香港映画であることは書いておきます.

Summary

ファイとウィンは付き合っていた. ともに男性である. ずっと一緒にいた 2 人はよく衝突し, たびたびケンカをしていた. そのたび, ウィンが「ファイ, やり直そう」と言って仲直りをしていた.

ふたりはアルゼンチンへ旅行へ行く. しかし目的地の滝にたどり着く前に道に迷い, ふたりはまた衝突, アルゼンチンの地で離れ離れになる. 香港へ帰るお金もなくなったファイはブエノスアイレスで帰るためのお金を稼ぐべく働いていた.

そんな中, またウィンがファイを訪ねてくる. そしてまた言う, 「やり直そう」と. 一度は断ったファイだったが, ウィンが手を怪我し, ファイのところに転がり込んでから, 見捨てることもできずファイとウィンは同棲生活を始める. しかし, 移りゆく季節の中で, ふたりの心はだんだん離れていく.

Impressions

正直見始めてから困ったことしかなかった. まず香港映画と知らなかったし((相変わらずのリサーチ不足.)), ゲイカップルの話だとも知らなかったし, 開始 5 分で男ふたりがセックス始めて度肝を抜かれた. そんなファーストインプレッションだったけど, 見終わったあと悲しく切ない気持ちになり, また困惑してしまった.

正直, 風邪ひいているときに見るんじゃなかったなと思っている. とてもいい映画だった.

ゲイカップル

この映画はふたりが男だということが根底に効いていて, 性格は違えどふたりの衝突は男女のそれとは質が違う. 世話を焼くファイからは女性性は全く感じないし, ウィンが特別に男らしいということもない((男のダメな部分がめっちゃ露呈している節はあるけれど.)). かといってこのふたりのバランスが取れていないわけでもない. 傍から見ても完璧にお似合いなふたりなのだ.

それなのにふたりの心は離れていく. その過程のひとつひとつはとても些細なことのようで, でも最初からこうなることはわかっていたようで, 最後まで見終わった時切なくなってしまう.

‘やり直す’

やり直すって簡単なことじゃない. たぶんこれは男女のそれでも同じ. 一度切れた縁はもともとの形には戻らない. 時間は巻き戻せない. でもウィンはそれでも最後までファイとやり直したかった. 出逢った頃のようにできると信じていたんだと思う.

ウィンはどこか夢を見ているところと, お調子者なところがあって, その 2 つは同じところから来ている. それに比べるとファイには現実を見る部分があって, だからこそふたりはお似合いなんだろうけど, ファイはウィンに愛想を尽かしたわけではないのに’終わらせ’る. その選択が, 滝への一人旅だったんだろう.

ファイ, ウィン, チャン((チャンの職場の後輩.))以外には滝しかこの映画映らないんですが, この滝が何かを象徴しているような気がしてなりません.

それが何かはよくわかりませんが, 謎の BGM と同時に滝の映像を数分流し続けるのはシュールでも有り, どことなくこの作品を象徴しているような気もします.

Conclusion

どこまでもいい映画だった. そしてどこまでも良い話だ.

この映画は希望でもって終わる. 声にならないほどの悲しみを乗り越えたとき, 人はまた前を向いて生きられる.

めったにこういうこと言いませんが, おすすめです.

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